写真詩

穏やかな日

穏やかな日 風ひとつない静けさの中 すべてのことがはっきりとしている 葉がそれぞれにまったく違う形をしている リンゴで太った羊のような雲が右から左へと流れる ボートが女の子をひとり乗せてゆっくりと岸を目指している そして一羽のおおきな白鳥が湖を…

退屈

私の退屈をご覧になって きみは哀れだと言うのか 忙しいひとはうらやましがっていた しかし私はその忙しさを分け与えてもらいたくないし わざわざ哀れんでもらう謂れもない 思いあがってくれるな みじかい廊下を、堂々と 便所へ急ぐ私を見てくれ もうじき夕…

「理屈ではない」

理屈ではない 使っていた言葉は残っていてほしい 生まれた場所は贔屓にしたい 理屈ではない 音楽を聴き、聴き続けて頭が痛くなり、その痛みを取るためにまた音楽を聴く 理屈ではないのだ そらみろ理屈はへんなところで曲がっている だれがやったんだ きみか …

劣勢だった 明らかに劣勢だった 大空を目の前にぼくらはどこか劣っていた しかし、今はどうだ 空は泣いているじゃないか 恥ずかしそうにしているじゃないか 結局のところ 居場所など簡単に見つけられたはずなのだ

一時停止

住所があること 二人の親がそろって居ること 料理に文句をつけられること 遠い未来の自分を案じていられること 他人が自らのすべてに及ばないこと 地球に程よい重力があること 牛乳を冷やしてしばらく保存しておけること すべての事象が必然であること 全知…

無題

掘り進めているのは トンネルなのか ここでやめたらトンネルではない 敷き続けているのは 線路なのか 長いほど褒められるのだろう せっせと作っているのは 未来の自分なのか ここでやめたら名残惜しい

海の生き物

ぼくらがまだ若かった頃に 少し荒らしてしまった海 声ばかりふやけて 人権問題を論じていた海の生き物 潜りたくて空を見上げたくて、 潜りたくて息継ぎをしたくて、 ✕✕ 天井から垂れ下がるひもに唾をつけて 風を感じてみたいと思うことがある 干からびてしま…

喜び

生き生きとした喜びを おれは今 感じている ひしひしと 内側から湧き上がってくるものだ ああ しかしこの気持ちを簡潔に 簡明に伝えることができない 暗く落ち込んでいたころには ぽんと言葉が出てきたものだが おれはひねくれているのだろうか この喜びを直…

昼間の三行詩

早く干されればいいのに洗濯機の中の洗濯物。 いつまでそうしているんだ洗濯機の中の洗濯物。 おれがやるのか。。。

間(あいだ)

間を埋めておくれ さびしいのはきらいだ 一個一個が孤立していて... https://www.breview.org/keijiban/?id=5070

沈黙

すこし汗かいて すこしせわしく話して 沈黙はそれからでいいだろう 今はまだやるべきことがある じっとしてはいられない 沈黙はそれからでいいだろう 気安く地上を離れ 高く空を駆け上がり それからの沈黙でいいだろう

失題

行方不明である 令和元年五月一日に書かれたこの詩の題名は どこかへ行ってしまった 机の引き出しや 庭先 みかんの房の間 あらゆる場所を探したが 見つからないのである いつのまに食べてしまったのか 汗ばんだ手が消してしまったのか それとも自分で逃げ出…